私たち猫は、少しぐらい体調が悪くてもおとなしく我慢したり、野生の本能から自分が弱っているのを隠そうとする習性があるんです。こう見えて案外忍耐強い動物なのですよ。
そのせいで飼い主さんが異変に気づくのが遅くなってしまいがちです。
小さな異変を見落とさないためにも、普段から猫が健康に過ごしている様子を良く知っておくことが飼い主さんにとって最も大切な事となりますので、よろしくお願いしたいところです。
猫の様子はこまめにチェックして健康管理に気を配り、もし異変に気付いたら速やかに病院を受診しましょう。
ここではまず、知っておくべき猫の病気を学びます。
尿路結石症
尿路結石症は膀胱や尿道に結石が出来ることで排尿障害を起こします。
第一の原因は尿路の感染症ですが、食事や遺伝的なものが原因となることがい多いようです。
おしっこの姿勢を取るが出ない・排尿時に痛がる・数滴しか出ない・尿の色が赤褐色・陰部をしきりに気にする・尿が乾いたあとでキラキラ光る等の症状が出ます。
雄雌の区別なく発症しますが、特に雄猫に多く見られます。
これは、雄猫のほうが尿道が細く長くなっていることと、尿が濃厚なため尿路結石症になりやすいと言われています。
尿が出ない状態が2~3日続くと危険です。尿路結石症の他に肝臓疾患や中毒症状・伝染病による肝障害や血球の破壊などで尿が赤褐色になることがあります。
早めに治療を開始しないと手遅れになるものも少なくありませんので注意が必要です。
腎機能障害
私たち猫は犬よりも腎臓病にかかる可能性が高いと言われています。
特にシニア猫の30%~40%は何らかの腎機能障害を患っていると言われています。しかも人間と違って、猫の場合の腎臓病の原因はハッキリとは解明されていないそうです。
前項の尿結石で尿が出せなくなったことが原因で、急性腎臓病になることもありますが、この場合は点滴や人工透析などで毒性の物質を排泄できれば体調が復活する場合もあるとのこと。
腎臓の機能が低下すると、水をたくさん飲み、オシッコの量が増えたり、毒素や老廃物が体内にたまって気持ち悪くなって嘔吐したり、口臭が強くなったりします。これらの症状に気づいたらすぐに病院で診察を受けてください。腎臓の病気には特別な予防法があるわけではないので規則正しい生活を送っている猫でも病気になる猫もいます。
だからせめて、定期的な健康診断を受けることが予防の第一歩だと思います。万一の時も早期発見できれば、進行を遅らせるための治療も可能です。
猫風邪
私たち猫も人間と同じように風邪をひくことがあります。
ただし猫の場合は重症になってしまうことがあり、子猫の場合には死亡することもあるので注意が必要です。
主にネコヘルペスウイルスやネコカリシウイルスに感染して発症することが多く、くしゃみ・鼻水・涙目・咳・発熱などの一般的な風邪症状のほか、よだれが多くなる、目やにが膿性になるため瞼がくっついてしまい眼がふさがってしまうなどの症状が出る場合もあります。
猫同士の接触やくしゃみなどで感染するので、他に猫を飼っている場合には接触させないように注意が必要です。
早めに治療を開始することが大切ですが、一旦かかると、完治したように見えても体調の変化でぶり返すような様子をみせる猫もいるので日々の健康管理には気をつけてほしいです。
そして何より、猫風邪は混合ワクチン接種で予防が可能なので、子猫のうちから予防接種を心がけましょう!
歯肉炎・歯周病・口内炎
私たち猫はハッキリ言って歯みがきなんかキライです。
しかし、現代猫の歯科口腔疾患の半数以上は歯周病が占めていると言われていて、日々歯周病の恐怖と隣り合わせで生活していると言っても過言ではないでしょう。
猫の口腔内は痛みを感じやすく、歯肉炎や歯周病になるとその痛みから元気がなくなり、食欲は落ち、歯から出血してやがて歯が抜けるといった恐ろしい症状につながるのです。
歯周病のプロセスはまず歯と歯茎の間にプラーク(歯垢)が付着し、そのまま放置すると24時間から48時間でプラークは歯石になります。歯石ができると歯石の表面がザラザラしているためさらにプラ
ークが付着しやすく、プラークを除去しない限り歯石が大きくなっていきます。
プラーク中の細菌が原因で歯茎に炎症が起こり、歯肉炎になり悪化させるとついには歯周病になります。
歯周病になると口臭が強くなり、歯周病の重症度に比例して口臭の強さは増してきます。重症化すると完治することはなく、歯がぐらついたり抜けたりするのです。
さらに、口腔内に刺激を受けて出来た外傷やウイルス感染・細菌感染・ストレスなど様々な理由で口内炎になります。口内炎になるとヨダレが垂れるようになり、車酔いでもヨダレが出る猫がいますのでこの場合は症状が収まるまで安静にしましょう。
こう考えると、歯周病の原因になるプラークの除去には歯ブラシによる歯みがきが効果的と考えざるを得ません。
歯みがきがキライなどと言ってるヒマはないかも知れないのです。
日々の歯みがきケアは歯周病の他、破歯細胞性吸収病巣の予防効果もあると言われ、口腔内のトラブル予防に大いに役立つのです。
歯ブラシの選定の仕方や歯みがき剤、みがき方については注意が必要です。
猫ニキビ(挫創)
猫の下唇の前部や顎に茶色のボツボツしたものが出来ていたら、それは「猫ニキビ」かも知れません。
口の周りをきれいに出来ない猫に多く見られ、食べかすや脂質・汚れが付着し不衛生になることから
発症します。長期間放置すると症状が進行し毛嚢炎になることもありますので、食餌のあとに消毒液で顎を拭いてあげるなど日々の清潔を心がけましょう。
細菌などによる二次感染があると炎症がひどくなり重症化する場合もあります。
症状がひどい場合には病院で治療してもらいましょう。