『猫の教科書』執筆にあたって ~猫と人の豊かな暮らしのために~

プロローグ

…そろそろ、わたしたち猫の本音に気づいてもらっても、いい頃じゃないかしら。

「猫を飼っているのに、猫のことを知らない」そんな人間が、あまりにも多すぎるのです。
私の耳には、日々たくさんの猫仲間たちのクレームが届きます。
「うちの飼い主、わたしが何にイライラしてるのか、全然わかってない」
「気分が乗らない日に限って、撫でてくるのよ…」
「信じてたのに…キャリーバッグに入っただけで、気づいたら病院の待合室だったわ。」

──それはもう、ため息の連続です。

確かに、私たち猫は「カワイイ」(反論は受け付けません)。それは事実です。
でも、カワイイだけじゃない私たちの「本当の姿」を、ちゃんと知ってほしい。
そして、日々の暮らしの中で私たちと心を通わせてほしいのです。

そこで私は、筆をとることにしました。
飼い猫の自立心の向上と、飼育レベルの高い飼い主の育成。その二本柱で。

名付けて『猫の教科書』。
これは、猫として生まれた私たちが、自分らしく健やかに暮らしていくための「猫のための教科書」であり、私たち猫と深く向き合い、寄り添って生きていける「飼い主育成のための教科書」でもあります。
「カワイイだけが、ぜんぶじゃない」
ときにワガママ、ときに繊細、ときに哲学者のように静かに物思いにふける私たちの一面を──
人間たちに、ちゃんと理解してもらいたいのです。

猫も飼い主も、どちらかだけが我慢する関係じゃなくて、
互いに学び合い、歩み寄りながら築いていく毎日こそが「豊かな暮らし」だと、私は信じています。

さあ、今日から一緒に学びましょう。
私たち猫が、本当に心地よく暮らしていける世界のつくり方を──
そして、あなたが「いい飼い主」から「最高のパートナー」へと進化していくその道を。

『猫の教科書』、開講です。